「第一回INAZOサミット」開催 11/25

一般社団法人「新渡戸稲造と札幌夜学校を考える会」と遠友みらい塾が主催し、塾生の宮澤洋子さんを中心とした実行委員会が企画した「INAZOサミット」が11月25日、札幌市内の札幌プリンスホテルパミール館(中央区南2条西11)で初開催されました。この日は、カナダ・バンクーバーをはじめ全国から「新渡戸稲造」に所縁のある約250人が参加。教育者・国際人として活躍した偉大な先人の足跡を振り返るとともに、21世紀を生きる私たちが、その「記憶」と「功績」をどのように受け継いでいくのかを考え合う、貴重な交流の機会となりました。
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イマジンを歌ってくれた伊藤めぐさんとバイオリン演奏の杉田知子さん。

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【ご来賓挨拶】 在札幌米国総領事 首席領事 レイチェル・ブルネット・チェンさん

ジョン・レノンの「Imagine(イマジン)」の美しい音色とともに幕を開けた「INAZOサミット」。冒頭の基調講演では、一般財団法人日本総合研究所会長で「遠友みらい塾」塾長の寺島実郎氏が「新渡戸稲造とは何か ——現代に生きるそのメッセージ」という題目のもと、お話しをされました。その内容は、教育者として、一方では国際人として活躍した新渡戸稲造の功績をたたえるだけではなく「その足跡から何を学び、現代にどのように生かすのか」を考えさせられる貴重なものでした。

前半は、「『太平洋の架け橋』になろうとした憂国の国際人であった新渡戸稲造」をテーマに、日本と世界を結ぶ「境界人(マージナルマン)」として生きた、新渡戸の歩みを紹介。その生き方をもとに「物事の本質を考えることの重要性についてお話しされました。そこでは新渡戸の、①世俗的な意味での成功者としての活躍、②当時の世界情勢を踏まえて、世界と日本の板挟みのなかで国際人として生き続けた思い、③世俗性を持ちながら国際人として活躍した「グローカリティ」な側面について言及したうえで、寺島氏は「歴史ツーリズム」といったキーワードを紹介。本居宣長や三浦按針などの偉人の歴史を掘り起こすことと同様に、新渡戸の歴史に触れることで見えてくる歴史性が、実は「観光」とも密接に関連していることなどをお話しされました。さらにそのような「つながり」を読み解くために「知性」を持つことの大切さについても触れ、地域史を掘り起こすことで見えてくる世界史との「つながり」が、いかに大切であるのかも述べられました。新渡戸の歴史を考えること。それはまさしく、私たちが「新渡戸」という記憶を通じて、時間(歴史)を周遊(ツーリズム)することなのではないか。そうしたメッセージも同時に含まれているような暖かなお話しでした。

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(一財)日本総合研究所会長・「遠友みらい塾」塾長 寺島実郎さん

後半は、「青年にとっての2つの道標:新渡戸稲造の対照としての内村鑑三」がテーマでした。新渡戸とは対照的な人生を歩み、宗教者として生き続けた内村鑑三。両者の歩みを比較しながら、それぞれが、自らたずさえた「知」をどのように活用し生きていたのかを、その足跡をもとに読み解きました。若い世代へのメッセージともいえる内容の濃いお話しに、会場を訪れていた学生や若者たちも真剣に聞き入っている様子でした。また、ここでは、新渡戸の代表的な著作として知られる『武士道』ではなく、寺島氏は『世渡りの道』という著作を紹介されました。新しい観点から新渡戸の足跡を読み解き、地域への深い理解や、世界動向を見つめ続けることの大切さを語るその姿勢はまさに「歴史ツーリズム」を実践しようとする姿そのものであるように思われました。約1時間に渡る熱の込もったお話しに、来場者も感慨深い面持ちで聞き入っていました。

その後の活動報告では、以下の方々が、ご登壇されました。

(1)ブリティッシュコロンビア大学(UBC)NITOBE GARDEN キュレーター
杉山 龍 氏
Nitobe Memorial Garden 新渡戸記念庭園〜太平洋の架け橋〜
(2)(公財)国際文化会館 新渡戸国際塾 常勤理事 丸山 勇 氏
新渡戸国際塾のご紹介
※当日はパワーポイントのみの紹介後、常田益代 北海道大学名誉教授によるお話し。
(3)創価大学創価教育研究所 創価大学大学院後期博士課程 岩木 勇作 氏
新渡戸稲造と牧口常三郎

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杉山龍さん

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常田益代さん

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岩木勇作さん

(4)花巻新渡戸記念館 学芸員 中島 明子 氏
拓く、繋ぎつづけて、稲造へ(オリジナルDVDで紹介)
(5)(一財)新渡戸基金 理事長 藤井 茂 氏
新渡戸稲造の誕生の地から皆さんへ
(6)(株)岩手めんこいテレビ プロデューサー 工藤 哲人 氏
稲造関係の海外取材、テレビ番組制作を通じて

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中島明子さん

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藤井茂さん

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工藤哲人さん

(7)十和田 新渡戸記念館 館長 新渡戸 常憲 氏
新渡戸記念館(十和田湖)
(8)NPO法人十和田歴史文化研究会 語り・小笠原 良子 氏
紙芝居「幻のふしぎなトンネル〜木枯らしに吹かれて」
(9)平成遠友夜学校 代表 藤田 正一 北大名誉教授
札幌遠友夜学校に通底する精神

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新渡戸常憲さん

小笠原良子さん(語り)と小笠原カオルさん

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藤田正一さん

(10)学校法人北星学園 理事長 大山 綱夫 氏
新渡戸稲造と北星学園 —平和教育の源流—
(11)北海道大学 新渡戸カレッジ 学生 山瀬和葉・遠藤和可奈 両氏
北海道大学新渡戸カレッジについて
(12)(一社)新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会 副会長 高橋 大作 氏
遠友学校と私たちの活動

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大山綱夫さん

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山瀬和葉さん、遠藤若可奈さん

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高橋大作さん

いずれのお話しも、教育者・国際人として活躍し、新渡戸稲造の様々な「顔」を紹介する興味深いお話しばかりでした。人物像やその歩み、さらには、現代まで続く活動の一端を紹介する様々な足跡に触れることで、私たちも思わず「歴史を旅している」気分になってしまったのではないでしょうか。新渡戸の足跡を、歴史的な側面からお話しされた、岩木氏、中島氏、藤井氏、新渡戸氏、藤田氏、大山氏、高橋氏、他方、新渡戸の足跡を空間的な側面からお話しされた杉山氏、工藤氏、さらにはその足跡を、文化的な側面からお話しされた小笠原氏、常田氏のお話しは、21世紀(現代)においても、新渡戸稲造の「記憶」が、時間や場所を問わず、世界で大きな「レガシー(遺産)」になっていることを改めて実感させられる貴重な機会となりました。

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秋山孝二さん

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司会の福間ひとみさん

最後は、今回の企画をまとめた一般社団法人「新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」の秋山孝二代表理事が、次回開催を、新渡戸にゆかりのある地域(持ち回り)で開催する予定であることを報告しながら「たくさんの方々のご協力のもとで開催できたことを大変うれしく思っています」と挨拶。大きな拍手に包まれながら、初めての「INAZOサミット」が幕を閉じました。

テレビや新聞で『第一回INAZOサミット』が取り上げられています

岩手めんこいテレビ ローカルTime『INAZOサミット札幌で新渡戸稲造の業績再確認』▶
朝日新聞 DIGITAL『開け、新渡戸稲造ツーリズム 札幌サミット』▶
岩手日報 WebNews『新渡戸の功績語る初サミット 札幌、国内外250人』▶


INAZOサミットページへ▶

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